皆さんは、筥崎宮の楼門に「敵国降伏」という文字があるのをご存知でしょうか?
僕は、初めてこの文字を見たとき、触れてはいけないやばい理由があるのかと思ってしまいました。
しかし、そこには歴史的な背景があったのです。
今回は、この「敵国降伏」に込められた意味をお伝えします。
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筥崎宮「敵国降伏」
こちらが筥崎宮の楼門にある「敵国降伏」↑
文字だけを見たら、ただならぬ意味がありそうです。
実は、この文言は蒙古襲来の際に天皇が戦勝を願って神社に奉じた文書から写し取ったもの。
蒙古襲来とは、元寇のこと。
福岡の皆さんは、「元寇防塁」といえばピンとくるはず。
こちらは今津に残る元寇防塁の様子↑
その昔、日本は元(蒙古)の襲来に脅かされる日々が続いていました。
当時の元といえば、中東アジアから東ヨーロッパに広がるほどの王朝。
ビビるのも無理はありません。
そこで、元の襲来に備えて九州北部に防塁を作りました。
それが元寇防塁。
元寇防塁は今でいう「今津〜香椎」間に20kmにも渡り作られました。
今尚、元寇防塁は今津や西南大学のキャンパス内など身近な場所で見ることができます。
ここで「敵国降伏」に話は戻ります。
この「敵国」とは元(蒙古)のことを指します。
「降伏」とは、もちろん元が降伏すること。
ここで重要なのは、「降伏させる」のではななく、「降伏する」というニュアンスであること。
詳しく説明すると、武力によって敵を降伏させるのではなく、徳の力を持って導き相手が自らなびいて降伏することを意味しているのです。
よって、「敵国降伏」と聞くと、少し暴力的なイメージを持ちがちですが、そのような意味は込められていません。
尚、気になる元寇(蒙古襲来)ですが、神風や元寇防塁のおかげで、日本は元に支配されることなく今に至ります。
そのようなこともあって、「敵国降伏」の文字がある筥崎宮は、勝負の神様として有名です。
毎年、地元のプロスポーツチームの福岡ソフトバンクホークス、アビスパ福岡はシーズン前に筥崎宮に必勝祈願に訪れます。