人口減少・高齢化が問題となっている日本の中にあって、福岡市の人口は年々増加し、街は若者で溢れかえっています。
調べたところ、福岡市の人口はここ50年で72万人も増えているそうです。
日本全体の人口減少が本格的に危惧されるようになったここ10年においても、福岡市は人口が14万人も増えています。
なぜ福岡の人口は増えているのでしょうか?
福岡の出生率は、他の都道府県に比べて高いのでしょうか?
気になって色々なデータを調べていくうちに、驚くべき事実を発見してしましました。
福岡の人口増加の理由が気になっていた方は、参考にしてください。
今回は下記の点を中心にお伝えします。
- 福岡の人口推移
- 福岡の出生率
- なぜ福岡の人口は増加しているのか?
- なぜ福岡には若者が多いのか?
あらかじめ重要なことを言っておくと、福岡の人口増加には学校が大きく関係しています。
福岡市の人口推移
まずは福岡市の人口推移から。
前述の通り、福岡市の人口はここ50年の間に72万人も増えています。
下記は10年毎の福岡市の人口推移(1972年〜)↓
年 | 人口 |
1972年 | 912,059人 |
1982年 | 1,118,834人 |
1992年 | 1,262,915人 |
2002年 | 1,368,115人 |
2012年 | 1,494,603人 |
2022年 | 1,631,409人 |
データ参照:福岡市(過去の推計人口)
注目すべきは点は、2012年から2022年にかけての14万人の増加。
日本の人口といえば2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じているのですが、それとは反対に福岡市の人口は増加し続けているのです。
まさに”逆日本現象”。
なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
人口が増えているということは、福岡の出生率は全国的に見て高いのでしょうか?
調べてみると、そこには意外な結果がありました。
福岡の出生率
厚生労働省が発表した2020年度の人口動態統計では、福岡県の出生率は1.43でした。
これは全国28位の数字。
全国平均が1.34であることを考えると、福岡の出生率は平均よりも少し上といったところ。
ちなみに、福岡の出生率は九州・沖縄の中では最下位でした。
詳細↓
全国順位 | 県名 | 出生率 |
1 | 沖縄 | 1.86 |
3 | 宮崎 | 1.68 |
4 | 長崎 | 1.64 |
5 | 鹿児島 | 1.63 |
7 | 佐賀 | 1.61 |
8 | 熊本 | 1.6 |
10 | 大分 | 1.57 |
28 | 福岡 | 1.43 |
ご覧の通り、福岡の出生率は九州で最下位。
それなのになぜ福岡市の人口は年々増加しているのでしょうか?
あらかじめ言っておくと、上の表に大きなヒントがあります。
福岡市の人口はなぜ増加するのか?
福岡の人口が増える・若者が多い理由には、学校が大きく関係しています。
実は福岡は全国的に見て、大学・短大・専門学校の数が多いのです。
少し古いデータになりますが、2013年(平成25年)のデータによると全国21大都市の中で福岡市の大学・短大の数は6番目に多く、学生数は5番目に多いと報告されています(データ参照:ふくおかの統計)。
そんなに多くの学生はどこから来るのか?
これまた2013年度のデータになるのですが、福岡の大学・短大へ入学した人は合計29,960人でした。
その中で福岡県の高校出身者は17,063人(全体の57%)。
実に12,897人もの若者が他の都道府県から福岡へ流入してきたわけですが、その内訳が非常に興味深いもので、九州・沖縄からが8,504人でダントツだったのです。
つまり、福岡の大学・短大に入学する学生のうち実に28.4%が九州・沖縄出身者。
これは4人に1人という計算になるので、かなり大きな数字です。
全国順位 | 県名 | 出生率 |
1 | 沖縄 | 1.86 |
3 | 宮崎 | 1.68 |
4 | 長崎 | 1.64 |
5 | 鹿児島 | 1.63 |
7 | 佐賀 | 1.61 |
8 | 熊本 | 1.6 |
10 | 大分 | 1.57 |
28 | 福岡 | 1.43 |
ここでもう一度、先ほどの九州の出生率を見ていきましょう。
ご覧の通り、福岡を除く九州の出生率はどこも高いです。
よく見ると、福岡以外の7県は出生率で全国ベスト10に全て入っています。
つまり、福岡市の人口が増える理由は「九州全体の出生率が高い → そこから多くの若者が福岡の学校へ流入してくる」ということになります。
福岡の人口増加の背景には学校という大きな存在があったのです。
福岡の人口増加の歴史
学校で人口増加?
そんなの単なる当てつけではないか?
そう思う方もいることでしょう。
しかし、学校と人口の関係は歴史が証明しています。
実は、1889年の福岡市の人口は九州では鹿児島市、長崎市に次ぐ3番目でした。
こちらが1889年当時の九州の人口↓
都市 | 人口 |
鹿児島市 | 57,822人 |
長崎市 | 54,502人 |
福岡市 | 50,847人 |
しかも、この時代は国の中枢機関の多くは熊本に集まっていました。
例えば、九州で初めてNHKが開局されたのも熊本。
しかし、ある出来事がきっかけでそのような流れが一気に変わったのです。
それは福岡が九州帝国大学の誘致に成功したこと。
そう、今の九州大学のことです。
九州帝国大学が福岡にできたことによって、各地から優秀な人材が福岡に集まってくるようになったのです。
やがてその若者たちは慣れ親しんだ福岡に住み、福岡という街が大きく発展していったのです。
その学校バブルは今も引き継がれており、毎年、九州各地から多くの学生が福岡の学校に入学することで福岡の人口は増え続けているのです。
毎年1万人規模の学生が福岡へ流入してくるので、当然、福岡の経済(不動産、教育機関、交通、飲食店etc)も潤います。
このことから、福岡の人口増加&発展は九州全体で作っていると言っても良いでしょう。
尚、この「学生 × 人口」の効果を違った意味で証明している都市が福岡には他にあります。
それは北九州市。
北九州といえば、全国的に見ても人口減少が多いことで有名。
実は、北九州市が政令市になった1963年当時、福岡市とは全くもって逆の政策が強いられたのです。
それは大学新設の抑制。
新設を抑制した理由は、都市圏への人口集中を抑えるためでした。
その結果、今では北九州市の学生数は福岡市の半分以下となっており、それが人口減少にも大きく影響しているのです。
このように人口増加には学校の存在がかなり大きいのです。
まとめ
以上、福岡の人口が増加する理由についてでした。
重要な点をまとめると、下記の通りになります↓
- 福岡市の人口はここ10年で14万人も増えている
- 福岡は日本有数の学生の街
- 福岡の出生率は決して高くないが、九州全体の出生率は高い
- 毎年、九州から多くの若者が福岡へ流入している
福岡の人口増加の背景には、学校の存在、そして九州の出生率の高さがあります。
逆の見方をすると、九州の出生率が低くなった時、福岡の人口増加も鈍化するということになります。
総合的に見ると、福岡市を大きくしているのは九州全体、福岡市の未来に大きな影響を与えるのも九州全体ということになります。