2015年に世界文化遺産に登録された三重津海軍所跡(佐賀市)。
幕末の佐賀藩海軍の拠点として洋式船の修理や蒸気船の製造などが行われた三重津海軍所跡ですが、ネット上で検索すると「がっかり」というワードをちらほらと目にします。
今回はその理由を現地の写真を使って解説していきます。
三重津海軍所跡へ行く予定の方は、これからお伝えする情報を知っているか否かで楽しみ方が違ってくるはずです。
Contents
三重津海軍所跡が「がっかり」と言われる理由
なぜ世界文化遺産にも登録された三重津海軍所跡が「がっかり」と言われるのでしょうか?
その最もたる理由は「見えない世界遺産」だからです。
「?」と思われる方が多いはずなので、ここからは先は写真を使って解説していきます。
こちらが三重津海軍所跡の写真↑
川の手前の原っぱに見える部分が世界文化遺産に登録された場所です。
ご覧の通り何もありませんが、実はこの地面の下に大変貴重なドライドック木組遺構(船を修理する施設)が埋まっているのです。
それが故、三重津海軍所跡は「見えない世界遺産」と呼ばれているのです。
後述しますが、原寸大のレプリカは隣接する佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館に展示してあります。
この地面の下にドライドック木組遺構が埋まっているのです。
なぜ「見えない世界遺産」になったのか?
ここで気になるのがドライドック木組遺構が埋められた理由。
そのままの状態で展示しておけば「見える世界遺産」として観光客にも分かりやすいはず。
なぜ、わざわざ埋められたのでしょうか?
その理由は良い状態で保存するためです。
もしドライドック木組遺構をそのままの状態で保存したら空気に触れて劣化する為、土に埋めるしかなかったのです。
いわば、苦肉の策。
ドライドック木組遺構が再び土に埋められるまでを時系列で表すとこうなります↓
↓
2015年 世界文化遺産に登録される
↓
2019年 劣化を防ぐ為、再び埋められる
このようにして世にも奇妙な「見えない世界遺産」が誕生したのです。
見えないが故、せっかく現地に行ったのに何もなかったと「がっかり」する人がいるようです。
三重津海軍所跡の場所・料金
三重津海軍所跡は地図の赤丸部分↑
ご覧の通り、地区は
- 修覆場
- 稽古
- 船屋
に分かれています。
最も貴重なドライドック木組遺構は修覆場地区です。
料金は外にあるので無料ですが、隣接する佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館(入館料500円)へ行くことを強くお勧めします。
佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館へ行った後に三重津海軍所跡へ行くと、見える景色が全く違うはずです。
佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館
2021年にリニューアルオープンし、3F部分は船の形になっています。
これを見て土の下に埋まっているものをイメージしておくと、現地に行って感じ取るものが全く違うと思います。
まとめ
重要な点をまとめると、下記の通りになります↓
- 三重津海軍所跡は2015年に世界遺産に登録された
- 劣化を防ぐため、2019年に再び土の中に埋められた
- 佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館にドライドック木組遺構のレプリカがある
何も知らない状態(ドライドック木組遺構が土に埋められていることを知らない状態)で三重津海軍所跡へ行ったら、いくら世界遺産だと言っても多くの人ががっかりするはず。
しかし、佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館でしっかりとその変遷を理解した上で現地へ行くと感慨深いものがあると思います。
歴史をより深く理解するためにも、佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館へは行っておいた方が良いでしょう。
「佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館」→「三重津海軍所跡」のルートがお勧めです。
有明沿岸道路「諸富IC」の近くにある
三重津海軍所跡は、有明沿岸道路「諸富IC」の近くにあります。