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中国にある西湖に行った話|大濠公園のモデルとされる湖

西湖

今回は一昔前に中国に行った時の話をしたい。

当時、学生だった私は中国を旅していた。旅のメンバーは同じ大学に通うゼミ生達。

今考えたらありえない旅のプランだが、私達は朝起きてその日の気分次第で行き先を決めるというちょっと変わった旅をしていた。

行き先は上海のような大都会から、日本人が珍しがられるような田舎町まで様々。

時には電車に10時間近く揺られて移動することもあった。

そんなある日、メンバーの一人が旅行書を見ながら杭州という街に行きたいと言い出した。

杭州とは、上海から南西に170kmほど離れた場所にある都市だ。

その旅行書にはこう書いてあった。

13世紀に『東方見聞録』で有名な冒険家マルコポーロが杭州を訪れた際、「世界で最も華やかな都市」と表現したそうだ。

しかも街の中心部には西湖という大きな湖があり、そこで見る夕日は絶景らしい。

旅行書には写真が一枚載っていた。それは、夕日に染まる西湖という湖の1ショット。

たった一枚の写真だが、その美しさは私達の行動力を掻き立てるに十分だった。

すぐに荷造りをして一行は杭州へと向かうことに。

西湖

杭州に着いたのは、ちょうど夕暮れ前だった。

天気は晴れ。

西湖に行くには絶好のタイミングだ。

宿を決めてしばし休憩をすると、私たちはすぐに西湖に向かうことに。

その湖はどんだけ綺麗なんだろう。

今のようにネットが普及していなかった当時、旅の情報源は本で見る限られた写真しかなかった。

その一枚の写真に想像力を掻き立てられた私たちは好奇心とともに急ぎ足で西湖へ。

そして西湖へ到着すると、私達はすぐに驚かされることになる。

西湖とにかく馬鹿でかいのだ。湖ではなく海ではないかと思うほどに。

湖上には大きな遊覧船も行き来しているではないか。

そして、何と言っても夕日が美しい。

それは想像以上の絶景であった。

同じ夕日でも見る場所によってこんなにも雰囲気が変わるのかと考えさせられるほどに、それは綺麗な光景だった。

西湖の遊覧船

せっかくだから湖を一周してみよう。

誰が言い出したのか忘れたが、私達は湖を一周していろんな角度から見ることにした。

しかし、歩いて10分ほどして一人の中国人との出会いでプランが変更になる。

湖畔で夕涼みしていた中国のおばあさんが私達に話しかけてきたのだ。

そのおばあさんは少し日本語ができたのでちょっとした会話をすることに。

今から湖を一周することを伝えると、おばあさんは驚いた表情でこう言った。

やめときなさい、夜になるよと。

そのおばあさんはこう付け加えた。代わりに遊覧船に乗った方がより夕日を近くで見られると。

バカなのか学習能力があるのか分からない私達は早速、遊覧船に乗ることに。

西湖こちらが遊覧船の中の様子。

おばあさんの言った通り、湖上で見る夕日は更に美しいものだった。

真っ赤に染まった夕日の色が水に反射して、そこには幻想的な風景が広がっていた。

西湖おそらくはマルコ・ポーロも西湖を訪れた際、このような綺麗な夕日を見たのだろう。

西湖因みに、夕暮れ時になると西湖は多くの遊覧船やボートで一杯だった。まるでその時を待ちわびていたかのごとく、次から次へと夕日に向かって出発していた。

西湖と大濠公園

西湖と大濠公園しばし絶景を楽しむと、心に余裕ができたのか周辺を落ち着いて見られるようになっていた。

そして、次第に西湖に到着した時から、なんとなく心の中にあった不思議な感覚の理由が分かってきた。

西湖は湖の周りにはウォーキングコースがある。そこには湖を取り囲むように木々が立ち並ぶ。

そして、西湖のちょうど中心部分には北と南をつなぐ長い橋がかかっている。

初めてくる場所なのに、どこか懐かしい気がする……。

そう、ここで今回伝えたかった本題へと移る。

規模は違えど、西湖の雰囲気は大濠公園と非常に似ているのだ。

そのせいか、福岡出身の私は西湖にちょっとした親しみを無意識のうちに覚えていたのかもしれない。

「西湖は大濠公園に似てる」

自然と私は皆にそう言った。

そこで絶景に続き、この日2度目の驚きが。

誰も大濠公園の存在を知らなかったのだ。

私は生まれも育ちも福岡だが、大学は県外の遠い場所だった。

福岡人にとって大濠公園を知っているのは当たり前。しかし、県外の人(特に九州外)は意外と知らないのだ。

結局、私はこの日、西湖の夕日の美しさと共に大濠公園の県外での知名度の低さを知って色んな意味でショックを受けることになった。

だが、それから数年経って大濠公園を歩いていた時、急遽、あの時の西湖での思い出が蘇ることになる。

それは確か大濠公園を南北に結ぶ観月橋の手前だったと思う。

一つの案内ボードがあり、そこには西湖の写真が写っていたのだ。案内にはこう書いてあった。大濠公園は西湖をモデルに作られたと。

道理であの時、初めて行った場所なのに西湖に懐かしさを感じたはずだ。

当時は今のようにスマホなどが普及しておらず、すぐにその場で調べることができなかった時代。

このようにかなりの年月のタイムラグを経て、その事実に気づいた時は驚きだった。

あの時、大濠公園のモデルだと知った上で西湖に行っていればもっと感慨深かったのではないかとも思ったが、それは未来の自分に託そうと思う。

因みに、先日、大濠公園に行った際、西湖のモデルとなったと記してあった案内板はなかった(私が探しきれなかっただけかもしれない)。

その後、色々調べてみると大濠公園が西湖をモデルに作られたと言うのは、あくまでも一つの説であり、証拠を決定づける記述などは残されてないようだ。

だが、個人的には大濠公園は西湖モデル説を信じたい。

なぜならば、実際に行って本当に似ていたからだ。

大濠公園と西湖の大きさ比較

さて、ここからはその西湖と大濠公園の大きさの比較。

とにかく西湖はデカかった。

行ったのは一昔前なのにその壮大さは今でも私の頭の中に残っている。

そこで今回、グーグルマップを使って大濠公園と西湖の大きさを比較してみた。

まずは大濠公園↓

福岡の中心部に位置する大濠公園を地図で見るとこういう感じだ。

そして、同じ尺度で西湖をグーグルマップで見るとこうなる↓

地図で見るとその差は歴然だ。

面積で言うと大濠公園は39.8ヘクタール、西湖は3,323ヘクタール。

単純計算で西湖は大濠公園の83倍の広さなのだ。

大濠公園の湖の周りは2km。一周歩くのに大体20分はかかるだろうか。

あの時、西湖を一周歩こうとしていたことを考えると今更ながらゾッとする。

あのおばあさんが言うようにこんな大きな湖畔を歩いていたら真っ暗、否、翌朝になっていたかもしれない。

途中でそのことを気づかせてくれて、遊覧船という乗り物まで教えてくれたおばあさんには改めて感謝だ。