春から秋にかけて動きが活発になる熊。
大きな体をした熊が人里に現れる映像を見ては恐怖を感じる人も多いことでしょう。
熊は九州にいるのでしょうか?
その結果と共に、熊が九州では生きづらい理由もお伝えします。
九州に熊はいるのか?
結論から言うと、既に九州で熊は絶滅したと言われています。
九州で最後に野生の熊が確認されたのは1957年のこと。
この時は大分と宮崎の県境にある山中でツキノワグマの子グマの死体が発見されました。
ちなみに、1987年にも大分でツキノワグマが目撃されて捕獲されています。
しかし、このツキノワグマは遺伝子解析の結果、福井や岐阜に生息する熊の特徴と酷似しており、そこから九州へ人為的に持ち込まれたものだと判明しました。
1987年のことは極めてイレギュラーな事だったとして、1957年から60年以上もの間、九州で野生の熊は目撃されていません。
以上のことから、九州の熊は絶滅しているというのが定説です。
なぜ九州に熊はいないのか?
春になると、北海道をはじめとする全国各地で熊の目撃情報が頻繁に報告されます。
なぜ九州だけ熊がいないのでしょうか?
そこには食糧事情が大きく関係してきます。
熊は冬眠をする前に、たくさん餌を食べてエネルギーを蓄えます。
その主なエネルギー源がどんぐり。
どんぐりが不作の年は、餌を求めて熊が人里に多く出没すると言われています。
実は、九州はどんぐりの実がなるブナやナラの木が他の地域に比べて少ないのです。
その理由は人工林が多いため。
人工林とは読んで字の如く、人為的に作られたもの。
木材供給などを目的に人の手で作られた森なので、木は過密に立ち、薄暗いのが特徴。
それが故、人工林ではどんぐりをはじめとする自然植物が育たないのです。
人工林の割合は全国平均で41%なのですが、九州の場合は福岡63%、佐賀67%、熊本61%、宮崎57%と非常に高い数値です(データ参照:林野庁)。
つまり、
「九州は人工林が多いので、どんぐりが育たない」→ 「どんぐりをエネルギー源とする熊には生きづらい環境」 → 「徐々に減少」 → 「絶滅」
という構図が成り立つのです。
その他、九州は都市開発などで山と山が孤立していることが多く、移動範囲が限定されて熊の数が減ったとも言われています。
まとめ
以上、九州と熊についてでした。
重要な点をまとめると下記の通りになります↓
- 九州で野生の熊が最後に発見されたのは1957年のこと。
- 現在、九州の熊は絶滅したと言われている。
- 九州は人工林が多いため、熊には適していない環境。
キーポイントは人工林。
現在、日本に生息する熊は2,000~3,000頭と言われています。
前述の通り、九州は絶滅しているのですが、それ以外の地域を見ると、四国が約20頭と非常に少なく絶滅寸前です。
実はこの四国に関しても、人工林の割合は高知65%、愛媛61%、徳島60%と九州同様に高い数値。
逆に、熊の目撃情報が多い北海道の人工林は27%と非常に低い数値です。
改めてになりますが、
「人工林では植物が育たない」→「熊の食べ物が不足」→「減少」
というサイクルになります。
熊よけグッズ
下記は熊よけグッズの一部です。
熊がいる地域に行く予定の方は参考にしてください。